大学の入学金や授業料は、大学にもよりますが家庭の経済面に大きな負担をかけることが多くなります。
そのために様々なローンや奨学金があります。
今回は、国の教育ローンと学生機構の奨学金の比較を中心に説明していきます。
どちらも借金に違いはありませんが、内容が大きく異なるので事前に理解をする必要があります。
【国の教育ローンと日本学生機構の奨学金の基本を覚えよう!】
国の教育ローンと日本学生機構の奨学金は、
「教育ローン」
「奨学金」
という名称から勘違いをしている方も少なくありません。
ここでは、国の教育ローンと学生機構の奨学金の基本を説明していきます。
今後利用を検討する際に理解しておくと役立つ内容になっています。
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国の教育ローンと日本学生機構の奨学金の基本!
国の教育ローンというのは、保護者が日本政策金融公庫に申し込むローンになります。
教育ローンには、国の教育ローン以外に銀行や信販会社の民間教育ローンが存在します。
民間の教育ローンは、保護者の収入や職業が重要視されます。
今回の記事は、国の教育ローンと学生機構の奨学金の内容なのでこれ以上は民間の教育ローンには触れません。
日本学生機構の奨学金は、学生本人が申し込むことになります。
名称は異なりますが、給付型以外は、どちらも基本的に「借金」です。
日本政策金融公庫 (国の教育ローン) | 日本学生支援機構の 奨学金 |
保護者が借りる | 学生が借りる |
共に借金 |
従って返済も保護者になるのでお子さんの負担を軽減できることになります。
国の教育ローンは、基本的に保護者が申し込むことになるので借主が学生ではなく保護者です。
国の教育ローンの申し込みから返済までの簡単な流れ
国の教育ローンは、日本政策金融公庫の「教育一般貸付」のことをいいます。
申し込みや借り入れの規則は以下の通りになっています。
・申し込みの条件
詳しい内容は、実際に日本政策金融公庫のホームページや電話で確認することをオススメします。
尚、ホームページ内の動画を閲覧すればわかりやすい説明があります。
今回の記事に該当する大学の場合は、入学金や授業料の他に定期代や必要な設備費などにも使用できます。
また、日本学生機構の奨学金との併用も可能になっています。
国の教育ローンの申し込み基準は、扶養しているお子さんの人数によって世帯収入による所得制限が定められています。詳細はホームページで確認することをオススメします。
・融資限度額
国の教育ローン「教育一般貸付」は、基本的にお子さんひとりにつき350万円が融資限度額になっています。
1年後までに必要な金額が基準なので複数口になることもあります。
もちろん審査があるので必ず融資が決定するわけではありません。
融資限度額は、特定の条件にあてはまる場合450万円になっています。
詳細は公式ホームページで確認することをオススメします。
・利息と返済方法
国の教育ローンの金利は、1.70%です。保証料は別ですが、一般的な金融機関のカードローンなどと比較するとかなり抑えられていることがわかります。
返済は、借り入れ月の翌月か翌々月から開始することになります。ただし、お子さんの在学期間中は、利息分だけの返済も可能になっています。
返済期間は、原則15年になっていますので借り入れた金額によって返済金額も異なります。資産的にゆとりがある場合は、繰り上げ返済にも対応しているので安心です。
・保証制度
保証は期間保証と連帯保証人のどちらかを選択することになります。保証機関を利用する場合は、保証料が差し引かれるので注意が必要です。
連帯保証人は、お子さんの4親等以内の親族です。連帯保証人は、借りる人と別生計の人に依頼をする必要があります。
・申し込みから入金までの流れ
申し込みは「インターネット」「郵送」「取り扱い窓口」から可能になります。
ここでは、もっともオススメインターネットを利用した申し込み方法を簡単に説明します。
公式ホームページの「インターネットお申し込み」から必要事項を入力後に送信すると日本政策金融公庫からその後の手続きに関するメールが届きます。
必要な書類をそろえたら、日本政策金融公庫に郵送をします。
申し込みの確認と簡単な質問等の電話連絡が数日後にきます。
この段階である程度採用か不採用かの判断がつきますが、審査結果は別途自宅に郵送されてきます。
審査が通った場合は、必要書類に記入して送付後に契約完了になります。
申し込みから20日程度で指定口座に入金される流れが基本ですが、時期によって更に日数がかかることが予想されます。
国の教育ローンは、入学前の申し込みも可能なので事前に申し込むことをオススメします。
また、入学金が用意できない場合は、最優先で利用したいローンのひとつです。
日本学生機構の奨学金の申し込みから返済までの簡単な流れ
大学進学の奨学金と言えば、最初の選択肢に考えるのが日本学生機構の奨学金になるのが一般的なようです。
奨学金という言葉と比較的敷居が低いのが選ばれる理由だと思います。
・申し込みの条件
大学進学や在籍中に使用できる日本学生機構の奨学金は「給付型」「第一種(無利息)」「第二種(有利息)」「入学時特別増額」の4種類あります。
「給付型」 | 「第一種」 (無利息) | 「第二種」 (有利息) | 「入学時特別増額」 |
審査基準 厳しい | 成績と家庭の 経済状況が審査対象 | 最も敷居の低い 奨学金制度 | 入学金用の費用 |
申し込み条件は、それぞれ学生の成績をはじめ家庭の経済状況などが審査の対象になります。基本的に給付型と第一種の併用は不可となっているので注意が必要です。
給付型は返却不要の新しい制度ですが、貸与型に比べると審査基準も厳しくなります。
成績と家計状況が審査の対象ですが、資産も含まれるので注意が必要です。貸与型の第一種は、学生の成績と家庭の経済状況が審査対象になります。第二種が最も敷居の低い奨学金制度ですが、有利子になので注意が必要です。
入学時特別増額は、入学金用の費用として申し込むことができます。
目的は入学用ですが、実際の手続き日には間に合わないので事前に用意をしておくことをオススメします。
・対象用途
日本学生機構の奨学金は、原則的に学費や学生の生活費用などにも利用が可能です。国の教育ローンと基本的に同じ考え方で問題ありませんが、借主や入金時期に違いがあります。
多くの利用者が、入学金や学費のために利用する奨学金ですが入金時期が期日に間に合わないスケジュールになっているので注意が必要です。
・融資限度額
日本学生機構の奨学金は、種類によって融資限度額が異なります。給付型や第一種は、家庭の経済状況によって違いがあるので、事前に確認することをオススメします。
第二種は、月額20,000円~120,000円になっています。一部の学部は上限が多くなっているので、必要に応じて利用することができます。
・利息と返済方法
第二種の利息は低めに設定されていますが、増減があるので必ず定期的に閲覧することをオススメします。また利用者専用のページも用意されるので現状も理解できるようになっています。
返済は、利用学生の在学中は返済がありません。卒業後に返済が開始になりますが、返済額は申し込みをしたときの一定額か就職後の収入によって毎月の返済額が、変動するタイプがあります。
卒業後に就職できなかった人や収入の少ない人のために返済時期を遅らせる制度もありますが、返済できる状況であれば確実に返済することをオススメします。
・保証制度
日本学生機構の保証は、機関保証と人的保証の2種類になります。機関保証は保証料がかかりますが、保証人を決める必要はありません。
保証人は、連帯保証人が保護者で保証人が親族を決める必要があります。後ほど説明しますが、様々なことを考えると機関保証がオススメです。
・申し込みから入金までの流れ
日本学生機構の奨学金は、予約採用と入学後の申し込みがあります。ここでは、予約採用の流れと入金に関する内容を簡単に説明しておきます。
日本学生機構の奨学金は、5月~6月頃に次年度入学予定者の予約採用を募集します。選考で採用となった場合は、10月頃に採用通知が届くので入学後に手続きをする必要があります。
1回目である5月の募集で選考漏れしてしまった人は、10月頃に2回目の予約採用の募集で再度申し込むことができます。結果は2月頃になります。
現役生(高校3年生)は、在学中の高校で説明や手続きをすすめることになります。浪人生は、卒業高校に行き自分で申し込みをしなければならないので注意が必要です。
奨学金が採用されるのは1浪までという情報を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、2浪の人も選考対象になっているので心配はいりません。
大学進学後に最終手続きをおこなうことで正式に「奨学生」として認められることになります。最初の入金は一般的に5月になる大学が多いようです。
【国の教育ローンと日本学生機構の奨学金のメリットとデメリット】
奨学金や教育ローンには、様々な種類があります。
その中で人気の
国の教育ローンと
日本学生機構の奨学金
に絞って説明をしていきます。
ここでは、国の教育ローンと日本学生機構の奨学金のメリットとデメリットを説明していきます。
どちらを利用するのが良いかを検討している人は参考にしてください。
国の教育ローンのメリットとデメリット
国の教育ローンのメリットとデメリットについて簡単に説明をしていきます。
詳細に冠しては、公式ホームページ等で確認することをオススメします。
国の教育ローンのメリット
・教育ローンでありながら低金利と敷居の低さ
・申し込みから採用までがインターネットと郵送で完了できる
・申し込みから採用までの日数が早い
・融資が決定すれば、入学手続きまでに間に合う
国の教育ローンのデメリット
・学生1人あたりの融資限度額が定められているが全額まかなえるわけではない
・収入による制限があるので誰でも採用になるわけはない
・1年間に必要な費用を申し込むので、複数回の申し込みが必要になるケースもあります
国の教育ローンは、銀行などの教育ローンと違い敷居が低いのが魅力です。
申し込みにそろえる資料が若干多いですが、さほど難しくないので安心できます。
問題点は、1年間で必要な費用の申し込みが基本なので場合によって複数の契約することになります。
返済時も2口になるので注意が必要です。
日本学生機構の奨学金のメリットとデメリット
日本学生機構の奨学金のメリットとデメリットを簡単に説明していきます。
詳細は、公式ホームページで確認することをオススメします。
日本学生機構の奨学金のメリット
・成績や家庭の資産と収入にもよるが給付型や無利息の貸与型が存在する
・返済は期間が定められているものの事前連絡で納期を延長できる
・有利息(第二種)貸与型であれば、かなりの確率で採用が期待できる
日本学生機構の奨学金のデメリット
・保証人制度を活用した場合保証人の死亡時に保証料を一括で支払う必要がある
・返済金額が大きくなるとその後の人生に大きな影響がでる
・採用後でも留年などで取り消されることもある
・毎年の調査で変更があった場合の手続きに時間がかかる
学校独自の奨学金制度を利用することも視野にいれよう!
国の教育ローンと日本学生機構の奨学金を利用しても大学の学費や生活をまかなえないご家庭もあるかもしれません。
基本は双方の併用ですが、学校独自の奨学金も視野にいれるケースもあります。
学校独自の奨学金は各大学で名称や内容に違いがあるので事前確認をオススメします。
【国の教育ローンと日本学生機構の奨学金の利用のポイント】
今回の記事の最後に国の教育ローンと日本学生機構の奨学金を利用するポイントを説明していきます。
原則としてどちらも借金であることを再度認識する必要があります。
国の教育ローンの上手な利用方法
国の教育ローンは、保護者(親御さん)が契約者になる負債です。
お子さん1人につき上限額が定められているので利用方法にも注意が必要になります。
申し込みは1年間で必要な費用を基準にしているので、契約口数が複数になることも考えられます。
敷居が低い教育ローンですが、必ず採用されるとは決まっていないので注意が必要です。
国の教育ローンの魅力は、低金利で早い入金です。
日本学生機構の奨学金は、入学手続きまでに間に合わないので併用を考えると良いと思います。
日本学生機構の奨学金の上手な利用方法
日本学生機構の奨学金は、学生本人が契約者となる特徴があります。
「給付型」
「貸与型無利息」
「貸与型有利息」
をどのように利用するかがポイントです。
日本学生機構の奨学金は、家庭の収入や資産の他に学生本人の成績が採用のポイントになります。
特に給付型に関する選考は厳しくなるので注意が必要です。
一番の問題点は、予約採用が決まっても入学手続きに間にあわないことです。
入学手続き費用が用意できない場合は、事前に国の教育ローンなどとの併用を考えてください。
日本学生機構の奨学金で注意をしなければいけないポイント
日本学生機構の奨学金を利用する際に注意しておかなければならないポイントを説明します。
ここまでの内容と重複する部分もありますが、重要なので理解しておきてください。
・予約採用が決定しても入学手続きには間に合わない!!
おそらく奨学金を利用する学生でもっとも最初に慌てる学生が多いのもこの点だと思います。
予約採用が決定しても入金は、入学後の手続きが完了してからです。
多くの大学は、5月に4月分と5月分の入金がおこなわれます。
入学金や授業料は入学手続き時におこなうので、間に合いません。
事前に入学費用を用意しておくことが理想ですが、難しい場合は国の教育ローンを事前に申し込んでおくことをオススメします。
・大学入学後も毎年継続採用の選考がある!!
大学入学後も継続して奨学金を利用する場合は、毎年継続選考が必要になります。
従って成績には充分な注意が必要です。
成績の悪い学生や留年などは、採用取り消しになることもあります。
大学生活を楽しみたいという人にはあまり奨学金制度を利用した進学はオススメできません。
・一括返済?保証は機関保証がオススメです!
保証を選択する際に費用のかからない保証人制度を利用する人も少なくないと思います。
確かに保証機関だと毎月保証料が発生するわけですからある意味損になります。
保証人で問題になるのは人選です。
親類がなることが多いのですが、年齢や最悪のケースにも備えられる準備が必要になります。
保証人である親類が亡くなった場合は、別の保証人を考える必要があります。
ところが人によっては、他の保証人がいないことも考えられます。
このようなときは保証を保証機関に切り替えることになります。
利用中の学生はこれまでの保証料を請求されることになります。
返還中の学生は、残った金額に対しての保証料を一括返済する必要があります。
一括返済が基本なので、安全策を考えると保証機関を利用するのがオススメです。
【まとめ】
今回は、国の教育ローンと日本学生機構の奨学金に関する説明を中心におこないました。
基本的にどちらも借金ですが、内容や仕組みが大きく異なります。
大学進学には、多額の費用が必要です。
事前に用意することが理想ですが、必要に応じて奨学金や教育ローンを上手に利用することをオススメします。
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