一昔前の中学受験と言えば、基本的に私立中学校の受験を意味していました。
現在は、公立中高一貫校もあるので毎年多くの受験生がチャレンジをするようになっています。
今回は、中学受験を考えている保護者向けに私立と公立中高一貫校の違いを様々な角度から説明したいと思います。
この記事を読んで受験校選択に役立ててほしいと思います。
【私立中高一貫校と公立中高一貫校の特徴と比較】
今回説明する中高一貫校は、基本的に中等教育校も含めて考えています。
中学と高校の6年間を一貫した教育方針で学べる学校を想定して説明をすすめていきます。
ここでは、私立中高一貫校と公立中高一貫校の基本的な部分を説明します。
それぞれの教育理念や仕組みを簡単にまとめています。
私立中高一貫校の特徴
★附属校と進学校
私立中高一貫校は、「大学附属校」「準大学附属校」「進学校」と呼ばれる学校に区分されます。また、男女共学・男子校・女子校によって校風が大きく異なります。
大学附属校と準大学附属校は、共に併設大学の附属校という共通点があります。大学附属校は、多くの生徒がそのまま併設大学に進学する学校になります。
準大学附属校は、はじめから内部進学者数が制限されている学校や他大学への進学希望者が多い学校のことを言います。
進学校は、併設大学がなく大学進学希望者は大学受験をして志望校を目指します。準大学附属校の中には、ほぼ進学校と変わらない学校も少なくありません。
★男女共学と男子校・女子校
私立中学校の特徴のひとつに性別による学校の区分があります。「男女共学校」「男子校」「女子校」の3種類が存在します。
「男女共学校」は、基本的に公立と同じ考え方ですが、募集人数に差をつけるケースもあります。はじめから女子の定員数を少なくしている中学校も少なくありません。
「男子校」・「女子校」は、全てではありませんが宗教教育を取り入れた学校が多くなっています。宗教に関係なく入学はできますが、教育理念に特徴があります。
男子校や女子校の中でも共学校に変わる学校も多くなっています。学校によって様々な理由が考えられます。
★高校募集の有無
私立中高一貫校の特徴として「高校募集の有無」があります。中学で募集をした人数だけで6年間を過ごす学校もあれば、高校募集をおこなう学校も少なくありません。
高校募集をする学校でも、クラスを別クラスと決めている学校と高校1年や2年の段階で
内部進学者と混同する学校もあります。
公立中高一貫校の特徴
公立中高一貫校は、比較的生徒の通学範囲も近隣のことが多くなっています。
学校数や必要な費用が少ないのも理由のひとつですが、例年倍率が高くなる傾向があります。
公立中高一貫校は、併設大学がありませんので大学進学希望者は、大学受験をすることになります。
大学進学実績については、後ほど触れたいと思います。
公立中学校は、私立中学校の個性に対して地域に密着した校風が特徴でもあります。
一概にどちらが良いとは言えませんが、公立中高一貫の特徴になります。
授業料の違い!差額以上の価値観があるのか??
公立中高一貫校の中学校は、基本的に授業料が「無料」です。
一方、私立中高一貫校の中学校は、学校により異なりますが、数十万円になります。
私立中高一貫校は、授業料以外に入学金や設備投資費をはじめ積立金なども公立中高一貫校に比べるとかなりの費用がかかることになります。
私立中高一貫校は、差額分以上の価値観があることが理想となりますが、
冷静に考えて全ての私立中高一貫校が公立中高一貫校より勝っているとは思えません。
公立中高一貫校は、基本的に高い倍率になる傾向があると説明しました。
つまり多くの受験生は、入学できないことになります。
公立中高一貫校で不合格となった受験生は、私立中学校か無試験の公立中学校が進学先になります。
私立中高一貫校の多くは、一般的な公立中学校と比較をされることになります。
ただし、各家庭で経済的な理由や教育方針が異なるので優越をここで決めるつもりはありません。
少なくとも公立中高一貫校と比較をするのであれば、
難関校と呼ばれる中高一貫校が対象になると考えて間違いはないと思います。
【受験生の立場で考える私立中高一貫校と公立中高一貫校の違い!】
私立中高一貫校と公立中高一貫校の違いや特徴を簡単に説明しました。
ここからは、実際の受験生の立場で説明します。
「学校生活」や「大学進学」を中心に説明をしていきます。
見解には個々の考え方もあると思いますが、ご了承下さい。
学校生活で考える私立中高一貫校と公立中高一貫校
私立中高一貫校と公立中高一貫校の違いを3つの観点で比較したいと思います。
「授業」「部活動」「いじめ問題」どれも気になるワードだと思いますが、順に考えてみましょう。
・授業内容
私立中高一貫校と公立中高一貫校の授業内容は、基本的に私立と公立の違いがそのまま反映されることになります。
私立は、基本的に自由で個性的な授業進行をする傾向があるので学校によって様々な考え方のカリキュラムになります。
公立は、国の方針が基本となっているのであまり個性が強い授業方針にはなりません。
近年になり高校では大学受験を意識した授業方針に変わってきています。
私立難関進学校の多くは、かなり先取りの授業をするので中学入学時期から大学受験を視野にいれていると考えて間違いはありません。
・部活動
部活動に関しては、私立と公立に関係なく本人が希望する部活動であれば、問題はないと思います。
部活の種類によって私立や公立よりもどこの学校が有名かということになります。
高校野球で甲子園に行きたいと考えているお子さんであれば、
野球部の強い学校を目指すと思いますし、文化部でも同様のことが言えると思います。
私立が公立よりも勝っている部分は、部活動によっては私立にしか存在しない部活もあるということです。
もちろん私立でも限られた学校のみというケースも少なくありません。
部活動の内容に関しては、
学校の公式ホームページをはじめ学校説明会や各種イベントに参加をして確認することを強くオススメします。
・いじめ問題
受験生当人だけでなく保護者の方も気になるのが「いじめ問題」だと思います。
こればかりは、学校説明会やホームページだけで判断をすることは難しいのが本音です。
私立中高一貫校と公立中高一貫校で比較をするのが困難な内容だと思います。
「いじめ問題」は、個々の学校や学年によって一概に判断はできません。
いじめ問題に対する取り組み方は、私立中学校の方が明確にしているケースが多いと思います。
内容に関しては、事前に学校説明会や個人的に相談することをオススメします。
大学進学で考える私立中高一貫校と公立中高一貫校
大学進学ということをどのように考えるかでこたえも変わってしまう問題です。
単純に大学進学という意味であれば、私立中高一貫の中でも大学附属校を選択するべきです。
また準大学附属校とよばれる学校の中には、
併設大学への入学資格を保持した状態で他大学の受験が可能な学校もあります。
難関大学に目線を変えてみましょう。
難関私立大学と難関国公立大学に絞って順列を考えてみました。
★難関私立大学に進学しやすい順番
1 併設大学附属中高一貫校
2 難関私立中高一貫校
3 難関公立中高一貫校
4 私立準附属校や進学校
5 私立中堅校
★難関国公立に進学しやすい順番
1 難関私立進学中高一貫校
2 私立準附属校
3 難関公立中高一貫校
4 私立進学校
あくまでも一般的な見方なので、全てがあてはまるわけではありません。
早慶レベルの難関私立大学は、特に内部進学者が多いのが特徴です。
一方、難関国公立大学だと難関進学校と呼ばれる中高一貫校が圧倒的に良い結果を残しています。
大学附属高校は、基本的に受験対策はあまりおこないません。
今後は、難関公立中高一貫校の大学進学実績が大きく変動すると考えられています。
理由は公立中高一貫校の学習方針の変化になります。
公立中高一貫校が誕生した当初は、あくまでも公立的な考え方で学習方針を決めていました。
従って私立中高一貫校のような大学受験の特化したスタイルではありません。
公立中高一貫校も徐々に大学進学実績を意識した教育方針になっています。
今後は、難関大学の合格者が増加するのではないかと思います。
結論!私立中高一貫校と公立中高一貫校のどちらがオススメなの?
私立中高一貫校と公立中高一貫校の特徴や違いを基本的な部分を中心に説明しました。
ここで大事なことを伝える必要があります。
私立中高一貫校と公立中高一貫校のどちらがオススメなのかと疑問に思う保護者も少なくないと思います。
単純に費用面や偏差値で比べるのは、正しい判断ではありません。
「オススメ」と言えるのは、あくまでもお子さんに適した中学校かどうかということです。
中には一般的な公立中学校がもっとも適しているお子さんもいると思います。
確かに私立・公立にかかわらず最難関の中高一貫校に入学ができれば、
将来的に難関大学への進学が近くなるかもしれません。
私立中学校の多くは、個性的な「校風」・「学習理念」が存在します。
まずは自分のお子さんが、志望校の校風や教育理念に適していることを確認してください。
「偏差値」「大学進学」などのことを考えるのは、適した学校を選択してからにするのが理想です。
公立中高一貫校に関しても同様の考え方になります。
費用面以外で公立中高一貫校を理想としてるのであれば、
その方針に近い私立中高一貫校を併願校に考える必要があります。
【まとめ】
今回は、私立中高一貫校と公立中高一貫校の違いを様々な角度から説明しました。
今回の内容で受験校の選択が保護者にとって重要なことが理解できたと思います。
公立中高一貫校も私立中高一貫校ほどではありませんが、校風があります。
あくまでもお子さんの性格を考慮した学校選びをオススメします。
また中高一貫校は、高校募集をする学校でなければ、6年間同じメンバーで学校生活をおくることになります。
子どもにとって大切な時期になりますので慎重に考えましょう。