高校入試を控える受験生の保護者の中には、自分が経験した高校受験とは、全く異なる制度に驚いている方も少なくないと思います。
全体的に高校受験の基本的な内容が主になるので、気軽に読んでいただければと思います。
この記事を読めば、お子さんの志望校選びの基本に利用できます。
【公立高校・私立高校・国立高専の入試概要と仕組みについて!】
高校入試は、中学入試や大学入試とは様々な面で異なる部分があります。特に公立高校の入試制度は、各都道府県で独自の考え方でおこなわれています。
また、私立高校や国立高専は、入試の仕組みだけでなく学校に独特の指導方法があります。
ここでは、各高校の細かいことではなく大きな意味でとらえた説明になります。
高校受験に対する基本的な部分になりますので、受験を控えた中学3年生の保護者以外の中学生や小学生の保護者の方にも参考になると思います。
公立高校の入試概要と仕組みとは?
公立高校の入試は、どこの都道府県も同じだと思われている方もいるようですが、似ているようで違うのが公立高校入試の特徴でもあります。
特に同じ方向性を向きながらも各都道府県で異なる見解もあるので、中学生で他の都道府県への引っ越しなどは受験生にとって大きなリスクになることもあります。
同じようで全く違う独自の考え方でおこなわれている公立高校の入試
公立高校の入試制度は、各都道府県で統一されているわけではありません。似ているようでそれぞれに個性があるので、ややこしくなっているのが本音です。
一部の難関校を除いて公立高校に関しての入試での出題範囲は、教科書を超えないレベルの問題と統一されています。問題は、入試問題ではなく内容です。
どこの都道府県も「推薦入試」「一般入試」のようにしてくれればわかりやすいのですが、各都道府県で名称が異なるのに内容がほぼ同じということも少なくありません。
一方で、同じような名称なのに全く主旨が異なる入試形式となっているケースもあります。また、同じ入試でも合否の基準もそれぞれ異なるので事前確認が重要になります。
全く異なる考え方でおこなわれている公立高校の入試ですが、方向性として言えるのは、推薦中心の考え方から入試当日の学力重視タイプに変わっている傾向があります。
ただし、依然として内申点が多くの比重を占めている高校も多いので、一長一短といった考え方になります。
公立高校で重要だと言われている内申書や内申点のポイント
公立高校入試で重要視されるのが、「内申点」になります。
内申点は、各都道府県で参考にする学年などに違いがあるので注意が必要です。
中学校1年生の成績から重視する場合と中学2年生からというケースもあります。自分のお子さんの地域の入試制度は早めに確認することをオススメします。
内申書と内申点は、似ているようで全く別の物と考えて欲しいと思います。内申書は別名調査書とも呼ばれるもので、中学校生活の総括になります。
内申点は、各都道府県によって数値の出し方に特徴はありますが、一般的に9科目全ての成績が対象になります。多くは学年ごとの数値を算出して3学年分の合計を出します。
内申点や内申書を重視するのは事実ですが、現状は難関校と呼ばれる高校ほど内申点よりも当日の学力試験を重視する傾向があります。
ただし、内申点が低いということは、中学校の定期テストもさほど良くなかったと予想できるので、難関公立高校の合格は難しいかもしれません。
どちらにしても、公立高校の受験を検討しているご家庭は、中学1年生からの定期テストから受験対策ははじまっていると考える必要があります。
公立高校と大学進学
公立高校でも各都道府県の難関公立高校の大学進学率は、決して私立高校にひけをとらない水準になっています。あくまでも難関公立高校というのがポイントです。
大学受験は本人次第と言われますが、やはり高校によって授業レベルが違うのは事実です。特に私立高校は平均レベルの高校でも大学進学実績をつくるために難易度の高い授業をおこなうこともあります。
基本的に公立高校から難関大学への進学を考えているのであれば、高校もできるだけ難関高校と呼ばれる高校に進学する必要があります。
私立高校の入試概要と仕組みとは?
私立高校の入試は、基本的に高校によって考え方が全く異なります。近年では、中学入試しかおこなわない私立高校も少なくありません。
私立高校は、入試制度を理解する前に高校の特徴を理解する必要があります。
公立高校と比べると「個性」が強い高校が多いので、志望校は慎重に選択することをオススメします。
私立高校は、「進学校」「附属校」「準附属校」の3つにわかれる!
私立高校は、基本的に
- 「進学校」
- 「附属校」
- 「準附属校」の3つに分類することができます。
それぞれに特徴があるので、1番オススメということはありません。
あくあまでも、受験生であるお子さんに向いている校風を考える必要があります。この考え方は、中学受験と大学受験を含めて同じだと思います。
★「進学校」
★「附属校」
★「準附属校」
このように簡単に説明しましたが、本来はもっと奥深い違いがあります。
ただ、大学受験を視野に入れたときに志望校を選択するポイントになると思います。
私立高校の入試スタイルは?
私立高校の入試スタイルは、「推薦入試」と「一般入試」をおこなう高校が多くなっています。「推薦入試」は、多くの都道府県の私立高校で採用している方式になります。
私立高校の推薦制度の意味は、生徒の確保や経営上の問題もあると考えられます。特に私立高校の多い地域では、高校によって受験生確保が精一杯ということもあります。
私立高校の入試には、「単願」「併願」という制度が公立以上にはっきりしています。単願推薦が最も合格率が高く難易度が下がります。
「併願」は、第一希望の高校によって合格率に違いが出るのは仕方がないと思われます。
また、一般入試のみという高校もありますが、大抵は進学校です。
私立高校は志望校によって全く異なる対応策!
私立高校を志望するときは、進学希望をはっきりと決める必要があります。高校入試は、一般的に以下のようなパターンが考えられます。
★Aパターン
第一志望 公立難関校
第二志望 私立中堅校
★Bパターン
第一志望 私立難関校
第二志望 公立一般校
もちろん公立一般校を第一志望で、私立中堅校以下を併願ということもありますが、この考え方は、「A」と基本的な考え方は同じになります。
私立高校は、費用面で大きな負担になることも予想されますが、現状高校生への支援制度は良い方向に向かっています。また、学校独自の奨学金制度も存在します。
多くの都道府県の高校受験は、公立高校と私立高校の両方受験するケースが多くなっています。費用面で難しいと思われている親御さんは、事前に確認することをオススメします。
国立高専の入試概要と仕組みとは?
国立高専は、国立高等専門学校の略称で全国に51校あります。主に技術系のエンジニアを養成する学校という位置づけになります。
一般の高校との大きな違いは、5年間の一貫性ということです。
本科と呼ばれる5年間の後は、「専攻科」「他大学への編入」「就職」となります。
大学進学が多くなり難しい立ち位置の国立高専!
以前は、国立高専と言えば、「花形」と呼ばれる時代もあったほど人気が高い進学先でしたが、4年生大学への進学者が多くなるにつれて、高専への進学希望者は落ち着いてきました。
国立高専は、通常の高校とは異なるので敬遠する受験生も少なくありません。正しい知識を得ていれば、決して悪い進学先ではないことが理解できると思います。
国立高専の本科(5年間)を卒業した生徒は、短大卒として扱われます。現在の日本は4年生大学への進学者が多いので、短大卒という言葉で敬遠する受験生も多いのかもしれません。
また、国立だけに受験レベルは決して低くはありません。全国の国立高専はそれぞれレベルが異なりますが、基本的に高いレベルにあると考えて間違いはありません。
国立高専と大学進学
国立高専の5年間(本科)を終えると、進路は3つにわかれます。
- 「専攻科(2年間)」
- 「他大学の3年生へ編入学」
- 「就職」となります。
専攻科は、より専門的な知識を得る学習をおこないます。専攻科の2年を過ごした後は、就職する生徒と他大学の大学院に進学をする生徒がいます。
他大学への編入は、3年生としての編入学になります。他大学と言っても基本的に国立大学になります。
就職を選択する生徒も少なくありません。元々高い技術力を身につけられる高専なので、一般的な短大卒の就職とは比べられないほどの就職率です。
このように国立高専は、入学試験は難易度が高いものの進路先も幅広くなっていますし、一般の高校と同様に編入学とはいえ大学進学も充分に可能です。
興味を持った方は、国立高専の説明会などに参加をしてみるのも良いと思います。特に技術系の仕事に就きたい中学生には、オススメの進路です。
就職率は公立・私立の比ではない!国立高専の実力!
現在の日本は、大学卒でも就職できないケースがあると言われています。一時期よりも景気は回復したもののバブル期のような就職状況ではありません。
そんな中でも短大卒の国立高専の就職率は、例年高くなっています。高専にもよりますが、大手企業のエンジニアとしての求人状況も通常の大学よりも良い状態です。
就職よりも進学を希望する生徒も国立大学の3年生として編入できます。大学は各高専によって異なりますが、東工大のような難関国立大学への進学者も多くいます。
【2021年度本格始動する新学習指導要領改訂のポイントとは?】
大学センター試験がなくなり新しい大学入試が導入されるという話題を耳にされた方も多いと思います。実際は、大学入試だけでなく日本の全ての教育環境が大きく変わろうとしています。
小学校から大学まで様々な環境で教育方針や指導要領の改訂が実施されます。中学校も例外ではなく、各科目に対して多くの変更点や改良点があります。
ここでは、新学習指導要領改訂のポイントを簡単に説明していきます。
難しい部分は、別の機会で今回は大きな変更点や問題点を事前に説明します。
新学習指導要領改訂!3つのキーワード!
新学習指導要領改訂は、小学校・中学校・高校で大きく指導要領が変更となります。
今回の学習指導要領改訂で3つのキーワードが主軸になっています。
★3つのキーワード
・「カリキュラム・マネジメント」
・「主体的・対話的で深い学び」
この3本の柱を中心に学習改訂をしようと考えているようです。おそらく多くの方は、「?」となっていると思います。
★「資質・能力」→
- これまで以上に知識や技能が習得できるような学習内容。
- 「思考力」「判断力」「表現力」といった近年下降気味の「力」の向上。
- 自ら学ぶ姿勢や人間性の向上ができる教育体制。
★「カリキュラム・マネジメント」→
これは何を言いたいのかわかりにくいと思います。簡単に説明をすると各学校で教育改革をおこないますが、理想の教育が実施できるように常に改善と評価をするということです。
この部分はある意味直接生徒には関係ないように思われますが、学校ごとの教師レベルを考えるとかなり問題点が浮き彫りになることも予想されます。
★「主体的・対話的で深い学び」→
これは、今流行の言葉であらわすと「アクティブ・ラーニング」という言葉がもっとも近くなります。
それぞれの言葉を具体的に説明すると、生徒個人が興味を持つような学習内容をつくることで、学習意欲の向上を狙います。
また、これまで教師から生徒への一方通行だったスタイルから対話方式に変えていくことで、授業内容やスタイルが大きく変わる可能性があります。
科目ごとの改訂のポイントと問題点!
今回の学習指導要領改訂で、最も生徒に直接影響がでるのは、おそらく科目ごとの学習要項の変更になります。
全ての科目が対象になりますが、最も気になる3科目に注目します。
★英語
英語は、小学校での学習内容がポイントになると思いますが、当然中学校でも大きな影響を受けると思います。確かに小学生から英語教育に力を入れるのは良いことだと思います。
これからの社会を考えたときに英語に力を入れるのは当然のことです。ただし、私立中学校の多くは、何年も前から英語学習に力を入れています。
問題点は、英語に力を入れて他の科目に悪影響がでては意味がありません。特に心配されるのが国語や読解力の低下です。
あくまでも国語があっての英語です。また、英語の学習方法も本当に現状の公立中学校で新しいスタイルの英語教育が可能なのか疑問もあります。
★数学
現在の数学教育は、公式や解法というものにとらわれる傾向がありますが、数学は本来パズルや謎解きのような楽しみがある科目です。現状の指導方法では、今よりも数学の得意な生徒と苦手な生徒の差が広がるだけのような気がします。このままだと私立中学校の入試が更に難易度が増すことになります。
★理科
IT関連教育とプログラミング技術の必要性!?
次にプログラミング技術の教育ですが、確かにIT関連の知識を早くから身につけるのは良いことだと思います。
ただし、プログラムのアルゴリズムやセキュリティなどを学ぶべきです。
プログラミング言語を学習しても本当の意味での技術者やエンジニアは育ちません。
「どのようにしたらこうなるのか?」という考える力を養うことも重要になります。
IT関連の教育をすることは、悪いことではありません。否定をする気持ちも全くありませんが、もう少し慎重に検討をしていくことが必要だと考えられます。
【まとめ】
今回は、高校受験に関する初心者向けの内容で簡単に説明しました。公立高校の日程や試験科目などに関しては、各都道府県で異なるので今回は省略しています。
また、私立高校や国立高専に関しても詳細に関しては各校で異なるので、あまり深くは触れませんでした。
後半の教育改革に関する話題に関しては、基本的に推奨できる部分もあると思っています。ただし、教わる学生側も大変ですが、指導をする教員の対応をもっと考えるべきです。
特に英語・数学・理科に関しては、教員がより専門性の高い知識を持つ必要があります。理科などは、一部の科目は私学でも専門教員が不足気味です。
ここでは、具体的なことは触れませんが、学習指導要領改訂に関しては、今一度慎重な対応が必要だと感じています。