2021年度の中学受験は、新型コロナの影響を多くの受験生が受けました。受け入れ側の中学校や受験対策をおこなう進学塾も様々な工夫をして中学受験を実施しています。
今回は、コロナ禍で受験校を選ぶときのポイントを説明していきます。
この記事を読めば異なる環境の中で、志望校選びに悩んでいる親御さんの参考になるはずです。
【コロナ禍での志望校選びの基本!】
新型コロナが猛威をふるっている状況ですが、中学受験を控えているお子さんを持つご家庭では、志望校選びが本格的になる時期です。
ここでは、コロナ禍での中学校選びの基本を説明していきます。
まずは志望校を選ぶポイントに絞っていきますので、参考にしてください。
コロナに関係なく志望校を決めよう!
中学受験のおこなわれる時期は、新型コロナだけでなくインフルエンザの流行も心配な時期です。もちろん、受験当日までに気をつけなくてはならないこともたくさんあります。
昨年はドタバタ感があった進学塾も、オンライン授業と対面式授業をうまく併用しています。また動画配信講義なども利用して、サポート面の対応にも進化が見えます。
受験生を受け入れる中学校側も受験日はできるだけ万全の感染対策をおこなっていますし、リモート入試の導入を実施している中学校もあります。
中学受験をゴール地点として考えるのはどうかと思いますが、受験生にとっては身近な目標であることに違いはありません。自分の通いたいと思う中学校を変える理由は見つかりません。
お子さんの体力面を考慮して併願校を減らすなどの工夫は必要なこともありますが、少なくとも第一志望校は当初の予定通りで全く問題はないと思います。
第一志望校に沿った併願校選びを心がけよう!
中学受験の受験校選びで、親御さんが悩むことのひとつに併願校選びがあります。特に偏差値重視で考えてしまう親御さんは注意が必要です。
偏差値は受験校に対する合否の目安になることは否定しませんが、受験校選びの中心になることは考えられません。あくまでも最終的な目安として利用してください。
併願校選びの基本は、校風や教育理念が第一志望校に似ていることです。お子さんが実際に通いたいと考える中学校を選ぶのがもっとも重要な選択理由になります。
進学校と一部の大学附属校では根本的な教育方針が違います。第一志望がどのような中学校かによって方向性は決まるはずです。
もちろん、日程や偏差値も併願校選びに必要なファクターですが、あくまでも最優先ではないことは間違いありません。
2021年の受験校は何校くらいが理想?
2021年度の中学受験は、多くの受験生が3校~5校の受験にチャレンジしています。2020年が6校受験している受験生が多かったことを考えると若干減少したのかもしれません。
首都圏の場合は2月1日~2月4日にある午後受験の受験数によって差が出るのかもしれません。また、1月中におこなわれるお試し受験に関しても各家庭の考えに違いがありそうです。
首都圏の中学受験は、1月にお試し受験をして2月1日か2月2日に第一志望校に挑むケースが多くなっていました。2021年は1月の受験を控える受験生もいたようです。
実際に第一志望校が2月2日や2月3日の場合は、2月1日に併願校の受験を組み入れることもできます。第一志望の受験日を中心に複数パターン用意しておくことをオススメします。
これまでの一般的な例を掲載しておきます。
・2月1日に第一志望校がある場合
1月 お試し受験
※状況次第で見送り
2月1日 AM 第一志望校
PM 併願校
2月2日 AM 第二志望校
PM 併願校
2月3日以降
併願校1校~2校
上記の場合は2月1日に第一志望校があるので、比較的例年と同じような日程になります。
2月2日以降に第一志望校がある場合は、お試し受験を2月1日するのもひとつの方法です。
【中学受験!コロナ禍での学校行事】
中学受験で受験校を決定するときは、学校説明会や行事に参加をすることで校風や教育理念を再認識します。
特に学校説明会は、入試のヒントも得ることができるので参加は必須です。
ここでは、コロナ禍でおこなわれる学校行事や説明会について説明をしていきます。状況変化によって大きく変わることもあります。
受験生参加型の学校行事に直接参加できるのか?
受験生が参加できる学校行事は、お子さんが受験校を選ぶきっかけにつながることが多いイベントのひとつです。文化祭や体育祭が主な行事になります。
現状のままであれば、受験生が文化祭や体育祭に参加または見学をするのは難しいと考えるのが妥当です。例えコロナワクチン接種が順調にすすんでも今年に関しては、慎重な対応をとる中学校が多いと思います。
多くの学校が生徒のみが参加となっていますが、動画公開をする中学校も多いようです。特に部活等の発表や展示などの紹介は、多くの学校が公開すると考えられます。
中学校の学校生活に部活動は大きな存在です。部活が入試動機になるお子さんもいるので、できるかぎりお子さん自身が動画を見ることをオススメします。
学校説明会は合否と志望校決定を決める重要なポイント!
中学受験において学校説明会の存在は重要なポイントになります。学校説明会への参加は、親御さんの大切な役割だと考えてください。
学校説明会は、入試に関する情報と中学校の校風や教育理念を理解できる場所です。併願校を決めるときにも利用できますし、入試のヒントになる情報を得ることもあります。
2022年度向けの学校説明会は、現地開催と動画配信の2通りの方法が予想されます。学校説明会の詳細は、事前に公式サイト等で確認してください。
学校説明会を現地開催する場合は、人数制限や完全予約制になることが予想できます。人気校になるとすぐに制限数に達してしまうので注意が必要です。
学校説明会を動画配信する中学校も多くなりそうです。この場合は、リアルタイムによる配信と後から動画を公開するタイプがあります。
現地開催と動画配信の両方開催する中学校もありますので、できる限り参加するようにしてください。
個別相談会や学校見学は?
文化祭などの学校行事が参加できない中学校が多いので、学校見学や個別相談が貴重なイベントになります。学校説明会と同じく完全予約制にする中学校がほとんどだと思います。
学校見学は、校舎内を見ることができる少ないチャンスです。教室や廊下はもちろんですが、空調や設備に関する情報を得ることもできます。
個別相談会も学校説明会が動画公開の場合は、貴重な質問チャンスになります。質問内容に関しては、事前にまとめておくことをオススメします。
特に大学附属校の進学状況や受験状況を聞いておく必要があります。同じ大学附属系列でも内部進学率は、大きく異なるので注意が必要です。
【中学受験!保護者が調べる入試前のこと】
中学受験の主役は受験生であるお子さんですが、親御さんが事前に調べることも数多くあります。特に併願校に関しては、丁寧に調べることをオススメします。
ここでは、親御さんが調べる中学受験の入試前に関することを説明していきます。事前に理解しておくことが重要ポイントをいくつか紹介します。
入試に関することを調べる!
・採点基準を確認
採点基準は中学校によって異なりますので、事前に質問しておくのが基本です。特に「漢字」と「ひらがな」の解答に関することは、合否に直接かかわります。
学校にもよりますが、漢字指定ではない限り「ひらがな」での解答も認めるケースもあります。漢字で書いて間違えると大抵は間違い扱いになるので、注意が必要です。
・複数回受験の優遇制度
複数日程や複数回の受験日を設定している中学校の優遇制度に関することです。複数回の受験を実施する中学校は、様々な優遇制度を設けているケースがあります。
得点による優遇制度を設けている中学校や受験料の優遇制度を実施している中学校もあります。直接担当者に確認することをオススメします。
・スライド合格や補欠合格
特待生制度を設けている中学校は、特待生入試で不合格になった受験生のスライド合格を認めているケースがあります。補欠合格に関しても事前に確認する必要があります。
特待生制度は、学校によって選考基準が異なります。入試の成績で特待生になっても、2年目以降の基準が成績以外に重視する項目がある中学校も少なくありませんので注意が必要です。
校風や教育理念について調べる!
・校則に関すること
校則はお子さんの学校生活に大きく影響することです。髪型・服装なども事前に確認しておくとお子さんも理解できます。
偏差値の高い中学校だから校則が厳しいと考えている親御さんは注意が必要です。生徒の意識が高い学校ほど校則が厳しくなくても自主的にルールを守れる生徒が多くなります。
・部活動に関すること
私学の場合は、通学時間によって部活動への参加が難しいお子さんもいます。部活動がさかんな学校でも活動時間は様々なので、事前に確認することをオススメします。
すべての学校ではありませんが、成績が一定以下の生徒は部活動に参加できない学校もあります。
・いじめに関すること
いじめに関しては難しい面もありますが、私立中学校の方が素早い対応をしているケースが多いようです。いじめに関しては、判断も難しいのが本音になります。
個別相談会などを利用して、具体例や対応方法について質問することをオススメします。学校側の回答次第で、親御さんがどのように受け取るかです。
・学校と保護者の関係
学校と保護者の関係に関しては、親御さんの考え方と学校の方針があっていることが理想になります。学校への訪問が多いことは、良いと思う人もいれば悪いと思う人もいます。
親の学校行事への参加を積極的に求める学校と基本的に学校任せという学校があります。どちらが良いという意味ではなく、好みの問題です。
・生徒の特徴など
併願校が中堅校と呼ばれる中学校の場合は、生徒の特徴などを確認するとお子さんとの相性もわかります。個別相談会などを利用して直接確認するのが、一般的な確認方法です。
学校説明会で教師から見る生徒の雰囲気を話すケースもありますが、この発言はあくまでも教師から見た生徒のことです。学校周辺の通学風景などからも確認することができます。
学校周辺の環境や通学について調べる!
・学校までの通学経路と所要時間
自宅から中学校までの通学経路と所要時間は、実際に自分で確かめることをオススメします。インターネットなどで掲載されているよりも時間がかかると思って間違いありません。
お子さんの体力によっては、乗り換えや混雑が大きな負担になることも考えられます。大人目線ではなく、お子さんの目線で考えることをオススメします。
・スクールバスの有無
最寄りの駅からスクールバスを運行している中学校もあります。バスの契約形態や運行本数によって通学時間にも影響がでます。
学校に聞けば所要時間等を教えてもらえますが、実際は登校時間帯のバスに乗るのが大変だという学校も少なくありません。
・学校周辺の環境について
学校周辺の治安なども確認しておくことをオススメします。下校時間などの生徒さんの服装や行動を見れば、普段の姿をみることもできます。
部活動などで下校時刻が遅くなると地域によっては、治安が良いとはいえないことも考えられます。学校説明会などでは、教えてくれないことのひとつです。
・通学にかかる費用
私立中学校は授業料や施設費など多くの費用がかかります。家庭の経済状態を圧迫してしまうケースも考えられます。
学校のホームページや入学案内の必要費用に通学費用は含まれていないのが一般的です。経路にもよりますが、大きな負担になることもあるので、事前に確認することをオススメします。
【中学受験!保護者が調べる入学後のこと】
中学受験で保護者が事前に調べることは、お子さんの入学後に関することも含まれます。特に進路指導や学校生活に関しては、事前に確認することをオススメします。
ここでは、保護者が事前に調べる入学後のことについて説明をしていきます。お子さんが楽しい学校生活がおくれるような中学校を選択してください。
大学進学について調べる!
・大学受験指導や進学先
中学受験といっても親御さんが気になるのは、その後の進路だと思います。特に大学進学に関しての情報は事前に確認する必要があります。
私立中学の多くは、大学受験に対する考え方が異なります。特に進学校と大学附属校では根本的に異なる方針なので、注意が必要です。
・大学附属の場合は併設大学への進学率
親御さんの中には、大学附属系の中学校に入学すれば大学まで安心だと考えている人もいるかと思います。実際には学校によって大きく異なるというのが本音です。
慶應系列は基本的に併設大学への進学率が高くなっていますが、早稲田系列は学校によってかなり差があります。他の大学附属校も様々なので、事前確認をオススメします。
・大学附属の別大学への進路指導
大学附属系の中には、他大学への受験を考えていないケースもあります。併設大学への進学が基本となっている場合は、大学受験対策に期待は持てません。
大学附属校の中には、他大学への受験を積極的におこなう学校もあります。学校説明会や個別相談会のときに確認することができるはずです。
入学後の学習面について調べる!
・学習面の指導方法
学習面の指導方法は、進学校と附属校では全く異なります。特に併設大学への進学率が高い学校は、基本的にゆったりとした学習計画です。
進学校の多くは大学受験に向けて、早い段階から対策を考える学校もあります。将来の進路によって事前に調べておくとで、お子さんの進路先も有利になるはずです。
・文系理系の選択と他大学の受験
高校生になると大学受験で学部を選択するときに文系と理系にわかれます。文系は基本的に対応している高校がほとんどですが、理系に関しては教師が不足していることもあります。
大学附属校の中でも併設大学への進学率が高い高校は、他の私立大学への受験には消極的です。国公立はOKという学校もありますが、事前に確認することをオススメします。
・生徒の通塾率など
私立中学校は、費用面の負担とお子さんの通学時にかかる体力的な負担もあります。中学校によっては、通塾率の高い学校もあるので注意が必要です。
親御さんの中には、私立中学校なら学習面は任せておけば大丈夫と過信している人もいると思います。もちろん大丈夫な中学校も多いのですが、事前に確認することをオススメします。
入学後の学校生活について調べる!
・学校食堂の利用について
併設の大学や高校には、生徒用の食堂があるのが一般的です。学校にもよりますが、中学生の利用を認めている学校と認めていない学校があります。
昼食はお弁当を持参という私立中学校が多いですが、中には購買や食堂の利用も可能な学校もあります。学校によって考え方が異なるので事前に確認することをオススメします。
・部活動のこと
部活動の活動日数や実績についても可能な範囲で調べておくと良いと思います。全国レベルの実績を持つ部活と一般的な部活では、あきらかに練習に差があります。
部活動はお子さんが学校生活を楽しくおくるために重要なことです。全国レベルを目指すことが必ずしもお子さんに適しているわけではないので、事前に確認してください。
・一貫生と高校入学生の扱いについて
私立中高一貫校の中には、高校入学をおこなう学校とおこなわない学校があります。また、高校入学生と一貫生を同じクラスにする学校と別にする学校が存在します。
どちらが良いという訳ではありませんが、お子さんの学校生活や学習面に大きな影響がでることも考えられます。中高一貫校にも様々なスタイルがあるので、注意が必要です。
【まとめ】
今回は、コロナ禍での中堅校選びについて説明をしました。第一志望校は、基本的に変える必要はありません。
中学受験で大事なことは、第一志望を変えないことと併願校に通うことになっても楽しく通える校風の中学校を選ぶことです。