発達障害という言葉を聞いたことがあると思います。発達障害を抱えるお子さんに対する知識には、多くの誤解があります。
発達障害のお子さんが抱える困難な問題は、周囲の環境を整えることで軽減できます。
お子さんが、学びやすい環境を考える方法のひとつに中学受験も含まれます。
今回は、発達障害のお子さんが中学受験をするときに抑えておきたいポイントを説明します。
この記事を読んでお子さんに適した環境をつくれるようになって欲しいと思います。
【中学受験は可能?発達障害の間違った認識!】
近年、発達障害という言葉を耳にするようになりました。発達障害は、子どもが生まれ持った特性のことをいいます。
ここでは、中学受験を考える前に発達障害の基本を説明していきます。まずは、発達障害を理解することから始めていきましょう。
発達障害とは?保護者の育て方に問題があるの?
「脳」の発達は、お子さんによって異なります。発達障害は、脳の発達バランスが悪い状態のことで日常生活に支障がでている状態です。
発達障害は、主な特性によって3種類の診断名にわけることができます。
ただし、特性は重なることも多いので診断名が複数になることも少なくありません。
1.自閉症スペクトラム障害(ASD)
2.注意欠陥多動性障害(ADHD)
3.学習障害(LD)
これらの特性に関する詳しい原因は、残念ながら現在も解明されていませんが、多くは生まれ持った「特性」なので保護者の育て方に問題があるわけではありません。
発達障害のお子さんの特徴や症状の違い
発達障害は、日常生活をすごす中で支障が生じた状態です。お子さんが苦手とする環境になったときにはじめて特性に気がつくケースが多くなります。
1.自閉症スペクトラム障害(ASD)は、コミュニケーションが苦手で特定のものや行動に対するこだわりが強い傾向があります。
会話などのコミュニケーションが、急速に発達しはじめる1歳頃から以下にあげるような特性が目立つようになります。
- 他人と目を合わせない。
- 暗黙のルールや冗談を理解するのが困難。
- オウム返しや単語での会話が多く、一方的な会話になりやすい。
- 音や光など特定の刺激に対して、極端に敏感または鈍感になる。
- 食べ物や順番などに強いこだわりがある。
自閉症の中でも言葉や知的な遅れが見られないタイプは「アスペルガー症候群」と区別していました。現在は、軽度なお子さんも含めて「自閉症スペクトラム障害」と呼んでいます。
2.注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性が目立つようになるのは、集団生活がはじまる幼稚園~小学校入学時期です。
特に目立つ特性によって
「不注意優勢型」
「多動性衝動性優勢型」
「混合型」
の3つのタイプにわけることができます。
・不注意優勢型
・集中力の弱さが目立つタイプです。ケアレスミスや忘れ物が多い傾向があるので、約束を忘れてしまうこともあります。
・好きなことに対しては、熱中しすぎてしまうので周りが見えなくなることも少なくありません。やりたいことを優先してしまうので、予定や段取りなどを組立てることが苦手です。
・多動性衝動性優勢型
・多動性や衝動性が目立つタイプです。おとなしくしていることが苦手で、座っているときも常に手足が動いている傾向があります。
・思いたつとすぐに行動するので、優先順位を決めることが苦手です。思ったことがすぐに行動にでるので「しゃべりすぎ」「順番を守らない」といったことがあります。
・混合型は、
3.学習障害(LD)の特性は、学校の成績が悪くなってから気がつくことが多いです。苦手な項目によっては、中学生になってはじめてわかることもあります。
・読字障害(ディスレクシア)
・文字の認識が苦手なタイプです。主に「一文字ずつ区切って読む」「形の似ている文字を読み間違える」「文字や行を読み飛ばす」といった特性があげられます。
・書字表出障害(ディスグラフィア)
・算数障害(ディスカリキュリア)
発達障害で怖いのは「グレーゾーン」と「二次障害」
発達障害の有無は、検査や問診の結果と診断基準を照らし合わせて医師が判断します。特性は見られても、診断基準が達していない「グレーゾーン」に分類される人が多くなっています。
発達障害は、血圧や一般的な病気のように数値で確定診断をすることができません。特にグレーゾーンのお子さんに対する診断は難しいので、慎重な対応が必要になります。
発達障害で特に気をつけたいことは、「うつ病」や「不安障害」といった「二次障害」です。周りの環境になじめないと精神的な疾患を抱えやすくなります。
二次障害を防ぐためには、特性に合わせた環境づくりが大切です。苦手な部分を補うことが、精神的な不安の軽減効果が期待できます。
【中学受験 発達障害のお子さんの中学受験!】
中学受験をする理由は、「子どもの得意な分野を伸ばしてあげたい」「将来的な受験回数を少なくしたい」など様々になります。大切なことはお子さんに適した中学校を選択することです。
ここでは、発達障害のお子さんが中学受験をするときに抑えておきたいポイントを説明していきます。子どもの特性に応じた環境づくりを考えていきましょう。
発達障害のお子さんがおこなう受験対策の基本!
中学受験で最初に知るべきことは、お子さんの学習理解度です。公開模試などの結果を客観的に把握して、お子さんの水準に合わせた受験対策を考えていきます。
発達障害を抱えたお子さんの多くは、得意・不得意の差が激しくなります。苦手な科目に関しては、基本的な問題を繰り返すことで理解ができるようにしていきます。
中学受験対策で塾や家庭教師を利用するご家庭が多いと思います。発達障害のお子さんも同様の考え方で問題ありません。
発達障害のお子さんにオススメするのは、家庭教師か個別指導タイプの塾です。近年は、発達障害のお子さんを多く中学合格に導いている家庭教師も存在します。
お子さんに適したカリキュラムを作成しますが、科目によって理解度が学年をまたぐことも必要になります。
お子さんの理解度に合わせたカリキュラムを作成する家庭教師や個別タイプの塾を選んで下さい。焦る気持ちはわかりますが、基本は中学受験の基本になります。
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発達障害のお子さんを持つ保護者ができる受験対策!
中学受験は、親御さんのサポートが重要なポイントになります。発達障害のお子さんに対しても同様で、環境を整えることが大切です。
学習時間はできるだけ短めにして、休憩時間を定期的に決めるようにしてください。学習中は、ゲームやおもちゃなど気になるものを事前に片付けておきましょう。
学習内容を伝えるときは、お子さんが理解しやすいスタイルに変更する工夫も必要です。図で説明することもひとつの考え方になります。
お子さんの特性や性格によって道具の見直しも必要です。マス目の大きなノートを利用するのもオススメの方法ですが、個人差があるので適した方法を見つける必要があります。
日頃の体調管理にも気をつけなければなりません。無理をせずにこまめな学習計画を考える必要があります。
親御さんの一番大事な役割は、中学校選びです。お子さんの性格にあった学校を選択すると発達障害による悩みがある程度緩和されることもあります。
近年は、発達障害のお子さんを受け入れる環境を整えている私立中学校もあります。何よりもお子さんが楽しく通学できる学校選びが一番のポイントになります。
学校をさがすときは、資料や学校案内を読むだけでなく実際に足を運ぶことも大切です。可能であれば、学校説明会や見学会などに参加することをオススメします。
公立中学校よりも私立中学校の方が有利になることも!
中学校を選択するときは、偏差値や進学率だけではありません。お子さんに適した校風や教育理念の学校を選択する必要があります。
中学校によって校風は様々です。学生個人の自主性に任せる自由な校風の学校もあれば、細かく管理されている学校もあります。
私立中学校の中には、カウンセリングや補習制度が充実している学校もあります。また、科目によってレベル別のクラス編成をおこなう学校も存在します。
私立中学校は、法令で定められている範囲内であれば独自の教育が可能な環境です。数学に特化したお子さんであれば、理系科目に力を入れている学校に進学することも可能になります。
得意な科目を伸ばすことは、他のことに関する自信にもつながります。少なくとも発達障害を抱えるお子さんには、良い環境になると思います。
発達障害を抱えるお子さんは、地元の公立小学校でトラブルを抱えていることも少なくありません。私立中学校に進学をすることは、環境を変えるという意味でもオススメになります。
また、公立中学校から公立高校受験をする場合は、内申点が重要になります。発達障害を抱えるお子さんにとって内申点はかなり厳しい条件になるはずです。
発達障害の特性は、周りの環境になじめずに悪い意味で目立ってしまいます。子どもに適した環境であれば、マイナス要素がプラス要素になることも考えられます。
私立中高一貫校であれば、原則的に高校への進学は無試験になります。特にお子さんに適した環境であれば、得意分野を大きく伸ばすことができる可能性が期待できます。
【まとめ】
今回は、発達障害と中学受験の関係を説明しました。発達障害は、得意・不得意の差が激しいので日常生活の中で困難を抱えていることが多くなります。
発達障害のお子さんは、環境が整えられれば得意分野を伸ばすことができます。また、困難な部分が軽減できるメリットもあります。